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7.2RPG荷重のシミュレーション

 

[Dugdaleモデルの一般化]
弾塑性状態のき裂開口変位を定量的に表すモデルとして、Dugdaleモデルがある。図7.2はDugdaleモデルの原理を示したものであり、き裂が存在しない状態で、最大荷重Pmaxが働いた場合に、切欠線上(x軸)に働く応力分布が、図7.2(b)、そして残留応力分布が図7.2(e)である場合に、切欠底からcの位置まで実き裂が生じた場合の応力分布は、材料を完全弾塑性体と考えると、図7.2(a)になる。ただし、Dugdaleモデルではx軸上には、y方向応力および勇断応力は働かないと仮定している。

 

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図7.2 Dugdaleモデルによる重ね合わせの原理

 

この場合、図7.2(a)は図7.2(b)〜(f)を重ね合わせたものになる。すなわちaを仮想的なき裂の先端と考える。図7.2(c)のように、図7.2(b)の応力分布に等しい内圧を〔0,a〕間のき裂面に作用させると、〔0,a〕間の固体の表面部には、−Pmax・s(x)なる応力が作用し、これと図7.2(b)を加えると、〔0,a〕間のx軸上のy方向応力は0となる。同様に図7.2(e)と図7.2(f)を重畳させても、〔0,a〕間のx軸上のy方向応力は0となる。したがって図7.2の(b)+(c)+(e)+(f)により、〔0,a〕間のx軸上のy方向応力は0となり、き製表面と同じ応力分布となる。そこで図7.2(d)のように〔0,a〕間のき裂面に降伏点と等しい負の内圧を作用させると、〔c,a〕間のき裂面には、降伏点と等しい応力が作用することになる。したがって図7.2(a)は図7.2(b)〜(f)を重ね合わせることで表現できる。
ここで仮想き裂先端では、作用応力は無限大とならないから、図7.2(b)〜(f)を重ね合わせた場合のK値(ただし図7.2(b)と(e)はき裂が存在しないのでK値は0)が0という条件より、aの位置が決定される。
き裂のある位置Xiに集中荷重を作用させた場合のK値が既知であると、任意位置xの弾性き裂開口変位はParisの相反定理で求められる。したがって、その弾性CODを図7.2によって重ね合わせれば、Dugdaleモデルによるき裂開口変位が求められる。

 

 

 

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